放射線の生体影響に関する疑問を解消しませんか?
日本放射線影響学会福島原発事故対応Q&Aグループでは、皆様の要望があれば全国どこへでも出かけ講演会を開催しています。どのような形式の講演会も対応致しますが、特に、30名程度の少人数グループを対象として参加者との質疑応答を重視した講演会に力を入れています。それは、私達は、情報は正確に伝わらないと考えており、講演者と聴衆が質疑応答を介して相互理解が深まると考えているからです。講演会には、幅広い専門分野の専門家を4〜5名派遣し、会話を通じて皆様の不安を解消し、もっとも適切な行動を選んで頂くための学術的情報支援をおこないます。なお、派遣する講師等への経費は一切不要です。ご希望がある場合は、京都大学・渡邉までメイル(msm@rri.kyoto-u.ac.jp)あるいは電話(072-451-2391)でお気軽にご相談ください。ここから、伊達市で開催した講演会の風景を見ることができます。
Q&A一覧(平成23年12月28日に全面的に改定しました。)
注意:理解して頂きやすくするために最初に読んでください。
(1)放射線量の単位は、報道等でよく使われるシーベルトで表します。1シーベルトの1,000分の1がミリシーベルト、1ミリシーベルトの1,000分の1がマイクロシーベルト。
(2)放射線の強さは、(マイクロシーベルト/時間)というように示されます。従って、(2マイクロシーベルト/時間)の強さの放射線を2時間浴びると、総被ばく線量は(2マイクロシーベルト/時間)x2時間=4マイクロシーベルト)となります。
(3)内容は、読者の読みやすさや、日々変動する状況によって少しずつ変化することがあります。記事の最後に改訂日を書いておきますので参考にしてください。
(4)平成23年3月27日現在、メイルが延着する現象が見られています。質問に対する回答が遅れる場合もありますのでご承知ください。
(5)私達は、このQ&Aの解説を多くの皆様に読んで頂くことによって、皆様が放射線の健康影響について抱いておられる疑問を解く情報を見つけて頂き、放射線の健康影響から自分を守るために少しでも納得いく行動を選んで頂けるように期待しています。そして、このQ&Aを読まれて疑問が生じたとき、まったく新たな疑問をお持ちになった時はどうぞご遠慮なく、e-mail: gimon@rri.kyoto-u.ac.jp(日本放射線影響学会Q&A対応グループ)までお知らせください。メンバーが適切な解説を作り、その一部はHPに掲示するとともに皆様に直接回答させて頂きます。
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○質問する⇒e-mail: gimon@rri.kyoto-u.ac.jp
解説--------------------------------------平成23年12月28日午後6時現在 (ver17)
Q35 飯館村で農業をしています。放射能測定の結果、農地が高濃度の放射性セシウムで汚染されていることがわかりましたが、ここで農業を続けることができるでしょうか?
A:ヨウ素131は、半減期が短いので放射性物質が飛来しなくなったあと、数ヶ月後には壊変して影響はなくなります。セシウム137は、半減期が30年と長いのですが、土壌に強く吸着されます。そして、その結合は、ほとんど離れない強固なものですから、ある程度時間がたてば、セシウムは土壌と結合することで徐々に植物へも移行しにくくなります。したがって、飯舘村に限らず、外部被ばくを少なくするとともに、セシウム137で汚染されたちり・ほこりなどを体内に取り込んで内部被ばくをしないために表層5cm程度を削って土を入れ替えることが安全に農業を続けるために必要です。いずれにしても、削った土を安全に処分する必要がありますので、原発からの放射能の放出が収束した後に、政府は専門家の意見を取り入れて被ばく防護処置を速やかに実施する必要があります。
平成23年4月22日現在、飯舘村は計画的避難区域に設定され、原則として立入りは認められていませんが、農業用水路などの管理のための一時的な立入りや、農地の荒廃を防ぐための管理作業を行う等の目的での一時的な立入りは認められています。また、今後2年間で、計画的避難区域では、被ばく線量が年間20ミリシーベルトを下回ることをめざして除染を行うことになっていますが、農地については、放射性セシウムの濃度に応じて、表土削り取りや反転耕などによる除染の方法が模索されています。(平成23年9月14日付け農林水産省プレスリリース参照)
(掲載日:平成23年4月12日、平成23年12月28日改訂)
Q34 福島原発から放射性物質が飛散し、地面を汚染していると聞きますが、 井戸水や水道水にどのくらい混入するのですか?
A:雨水が地下に浸透することによって地下水となります。その際、雨水が地下に浸透して地下水面に達するまでに移動する地下空間を通気層*注1といい、また、地下水面下で地下水が流れている空間を帯水層と呼びます。従って、雨水中の放射性物質が地下水に混入するまでの時間は、通気層を構成する土壌と放射性物質の相互作用の程度によって決まることになります。放出された放射性物資のうちで水に溶けて陽イオンとなるセシウム137は、土壌に強く吸着され地表の土壌に留まりますので地下水に混入することはほとんどありません。一方、水に溶けて陰イオンとなるヨウ素131などは、雨水と一緒に土中に染み込みますが、核種が地表から地下水面まで移動するにはかなり時間がかかります。その間に半減期が8日間と短いヨウ素131は減衰してしまい地下水に混入する量はごくわずかになります。このように、地下水では土壌への吸着と移動時間の長さが雨水中の放射性物質の低減に作用します。したがって、河川水を原水としている水道水よりも、地下水の方が安全と言えます。また、水道水は、原水が何であるかによって異なりますが、地下水を原水としていれば、前述したように安全ですし、河川水を原水としている場合でも浄水場で一般的に使われている砂ろ過処理が行われていれば、セシウム137のような陽イオン核種はほとんど除去されます。ヨウ素131のような陰イオンは、砂ろ過では除去されませんので、原水が取水されてから水道水として給水されるまでの時間の長さによって放射性物質量が異なることになります。水を砂ろ過の後、活性炭処理するとヨウ素131の50%程度は除去されます。さらに、心配であれば、市販されている陰イオン交換樹脂を含むフィルターがついた浄水器を通すとほぼ全量が除去できるようです。ただし、陰イオン交換樹脂がヨウ素で飽和してしまえば除去はできなくなりますので注意してください。ゼオライトも効果があります。なお現実には、県あるいは市町村の水道水供給組織によって厳密な放射能モニタリングが行われており、多くの場合その結果も公表されています。現在は検出下限値に近い値が報告されており、水道水中の放射性物質に関し特段の心配は必要ありません。家庭用の井戸を利用している場合、水道水のモニタリング結果も参考になると考えます。
平成23年11月18日現在、福島県内でも、浄水場や飲用井戸等での検査の結果、放射性物質の混入は一切検出されていません。
(掲載日:平成23年4月12日、平成23年5月10日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q33 関東地方に住んでいます。雨に濡れても健康には問題ないと言われて いますが、雨の降る屋外で子供にスポーツなどをさせるのが心配です。本当に安全なのでしょうか?
A:茨城県水戸市の例をあげると、雨水中のヨウ素131の濃度は、最も濃かった時(平成23年3月23日)が約5,000ベクレル/kgで、平成23年3月末の雨は約500ベクレル/kg程度でした。雨の中での被ばく線量の評価は難しいのですが、仮に1,000ベクレル/kgの濃度のヨウ素131が含まれる雨の中でスポーツをする場合を考えてみます。ここでは、成人よりも被ばく線量が大きくなる子供(1〜4才の幼児)を想定します。土砂降りの雨が降っていて、その雨(比重を1と想定)をコップ一杯(200ミリリットル、0.2 kg)飲んだ子供(幼児)の甲状腺等価線量(内部被ばく線量)は、1,000(ベクレル/kg)×0.2(kg)×1.5/1,000(ミリシーベルト/ベクレル、原子力安全委員会環境放射線モニタリング指針2008)=0.30ミリシーベルト(=300マイクロシーベルト)になります。実際はこんなに雨水を飲むこともないでしょうから、これよりはるかに小さな値となります。さらに、外部被ばくについて考えると、その濃度の水中に1時間ドップリ浸かっていても0.1マイクロシーベルト以下の被ばくですので問題になりません。「発がん」自体は放射線を浴びなくても起きうることなので、「絶対に影響が出ない」とは言い切れないのですが、科学的見地から、上記のように極端な仮定でも放射線被ばくが甲状腺がんの原因となるとは考えられません。
平成23年11月22日現在、福島県を除いて、全国で雨の中に放射性物質は検出されていません。また福島県でも、検出されている放射性物質のレベルは検出下限値程度の極わずかなもので、大気中の粉塵などに含まれる放射性物質の値も検出下限値程度程度であることを考え合わせると、国内のすべての地域で、降雨の中で屋外活動をしたとしても健康への影響は考えられません。
(掲載日:平成23年4月6日、平成23年12月28日改訂)
A:平成23年4月19日に文部科学省から福島県および教育委員会に対して、「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」(参考資料)という通知が出されました。学校での授業やクラブ活動などは、この通知に従って頂けば問題ありません。この通知では、校庭・園庭における放射線量(空間線量率)が3.8マイクロシーベルト毎時以下であれば、校舎・校庭等を平常通り利用して差し支えない、それ以上の場合は校庭・園庭での活動を1日あたり1時間程度に制限することが適当されています。この「3.8マイクロシーベルト毎時」は、学童、生徒の校庭・園庭等屋外での活動時間を8時間、屋内での活動時間を16時間と考え、また、屋内(正確には木造家屋の1階または2階)では放射線量が40%になるという仮定に基づいて計算したときに、年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下になる線量です*注1。この線量は、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告に記載されている「非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベルとして、年間1〜20ミリシーベルトの範囲とすることが適切」という勧告に基づいて設定された値です。この値が設定された理由は、これまで長年にわたる疫学調査や実験の結果で、発がんなど何らかの健康影響が認められるのは100ミリシーベルト以上の線量を被ばくした場合で、20ミリシーベルトの被ばくで健康影響が現れることは確認されていないからです。ただし、ICRPの勧告でも、事態が収拾したら速やかに一般人の被ばく規制値1ミリシーベルトに近づける努力をすることが示されています。その意味で文部科学省は、その通知の中で、「この措置は夏季休業終了(おおむね8月下旬)までの期間を対象とした暫定的なものとする」と明記するとともに、文部科学省、首相、内閣官房なども「長期的に線量を下げる対策を行なう」と公言していますが、その対策が遅滞なく実施されることが重要です。
なお、同じ通知の中に「児童生徒等が受ける線量をできるだけ低く抑えるために取り得る学校等における生活上の留意事項」が示されていますので、少しでも被ばく量を下げるために参考にされるとよいでしょう。いずれの行動も必ずおこなわなければ放射線の健康影響が生じるということではありませんが、
(1)手洗い、洗顔、うがい
(2)土や砂を口に入れない注意(乳幼児の砂場などの利用を控える)
(3)登校・登園時、帰宅時に靴の土を落とす、衣服に付着した細かな土、埃などを払いおとす
(4)風が強いときや土埃が多い時は窓を閉めるなどに気がけることで被ばく線量をさらに下げることができます。また、土ほこりの飛散の対処法としては、水撒きや防塵剤である塩化カルシウムやキープウエット(日本銀砂(株))などの散布も有効と考えられます。
平成23年8月26日、文部科学省では、学校の校舎・校庭等において3.8マイクロシーベルト毎時以上の空間線量率が測定されるケースがなくなったのを受け、夏季休業終了後の1年で児童生徒等が受ける放射線の量を原則1ミリシーベルトとし、これを達成するために、新たに校庭・園底の空間線量率の目安を1マイクロシーベルト毎時としました。仮にこの目安を超えることがあっても、屋外活動を制限する必要はないとしましたが、今後、校庭・園庭の線量低減対策、および学校内に存在する局所的に線量が高い場所については除染などの措置を推進することになっています。校庭・園庭の線量低減対策としては、削り取った土壌表面をまとめて地下に集中的に置くか、あるいは表面の土壌と掘り起こした土壌とを上下置換することが有効であると報告されています。
(掲載日:平成23年4月6日、平成23年4月28日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q31 累積放射線量が屋内避難の目安の1万マイクロシーベルト(=10ミリシーベルト)を超える地域が報告されてきましたが避難する 必要はないでしょうか?
A:文部科学省の平成23年4月5日発表の福島第一原発の20 km以遠の積算線量結果
(http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/_icsFiles/afieldfile/2011/04/05/1304004_040510.pdf) によると、平成23年4月4日午前中までの空間線量が一般人に許される規制基準値(1,000マイクロシーベルト(1ミリシーベルト)/年)を超える2,000〜11,000マイクロシーベルト)地域が数ヶ所出始めていました。この規制基準値は、生物学的見地からいえばまだ健康影響が憂慮される線量(10万マイクロシーベルト(100ミリシーベルト))になるまでに10倍程度の余裕がありますが、このままの状態が続くことは好ましくありません。この目安は、国民の安全を守るために国が自ら制定したものですから、国と地方自治体はデータを遅滞なく発表するに留まらず、速やかにその内容を説明し、住民に対して避難・屋内退避などの具体的な行動を指示する責任があると思います。現在は、原発事故現場からの放射性物質の大量な飛散はないものの福島第一原発の20km以遠の各地でも、地域によっては積算線量が2万マイクロシーベルト(20ミリシーベルト)/年を超える地域が出る可能性が出てきました。これは、風向きや地形などの違いで放射性物質の飛散状況が違うからです。そこで、政府は、平成23年4月11日に新たな「計画的避難区域」を設定するという考え方を公表し、4月22日に政府は「計画的避難区域」および「緊急時避難準備区域」の設定を発表しました(参考資料)。(http://www.meti.go.jp/press /2011/04/20110422004/20110422004-2.pdf)
【計画的避難区域】
1.基本的考え方:
事故発生から1年間の期間内に積算線量が2万マイクロシーベルト(20ミリシーベルト)に達するおそれのあるため、住民等に概ね1ヶ月を目途に避難を求める。
国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機構(IAEA)の緊急時被ばく状況における放射線防護の基準値(年間2万マイクロシーベルト〜10万マイクロシーベルト)を考慮する。
2.区域の範囲(詳細は参考資料2):
飯舘村(全域)、川俣町の一部、葛尾村(20 km圏内を除く全域)、浪江町(20 km圏内を除く全域)、南相馬市の一部
【緊急時避難準備区域】
1.基本的考え方:
福島第一原子力発電所の事故の状況がまだ安定していないため、今後なお、緊急時に屋内退避や避難の対応が求められる可能性が否定できない状況にある。このため、緊急避難準備区域においては、住民に対して常に緊急的に屋内退避や自力での避難ができるようにすることが求められます。
2.区域の範囲(詳細は参考資料2):
広野町・楢葉町(20 km圏内を除く全域)・川村町(20 km圏内を除く全域)・田村市の一部・南相馬市の一部 と発表されています。 つまり、屋内退避区域で「計画的避難区域」でない地域の住民に「緊急時退避準備区域」とした上で「自主避難」を求めています。しかし、これまでの被ばく事故等の経験から健康影響がでないとされている許容線量値(2万マイクロシーベルト(20ミリシーベルト)/年)に達するまでにまだ余裕がありますから、住民の皆様は落ち着いて行動してください。
平成23年6月16日、現地対策本部は、計画的避難区域および警戒区域の外の一部地域で、事故発生後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを越えると推定される地点が存在していることを受け、これらを、特定避難勧奨地点としました。これらの地点では、計画的避難区域と違って、地域全面に線量の高い地域が広がっているわけではないため、住民に対し避難を指示することはありませんが、妊婦や子供のいる家庭等に対しては避難を促すよう自治体と相談していくとしています。さらに、平成23年9月30日には、緊急時避難準備区域を解除し、各市町村の復旧計画を最大限支援し、住民の帰還に向けて除染など万全の対応をするとしています。したがって、現時点までに避難指示が出ていない地域では、避難の必要はありません。
また、平成23年12月6日、今後の警戒区域・計画的避難区域の見直し基準が政府から発表されました。それによると、
1【解除準備区域】 年間推定放射線量が20ミリシーベルト未満の区域。区域に指定後、早ければ来春にも指定解除。
2【居住制限区域】 年間推定放射線量が20〜50ミリシーベルト程度の区域。20ミリシーベルト未満への減衰が数年程度見込まれる区域。
3【長期期間困難区域】 年間推定放射線量が50ミリシーベルト以上の区域。20ミリシーベルト未満への減衰が5年以上見込まれる区域。
とされています。
(掲載日:平成23年4月6日、平成23年4月12日改訂、平成23年4月26日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q30 プルトニウムから放出される放射線の生物影響はどんなものですか?
A:プルトニウム(Pu)には、代表的なものとして、Pu-238、Pu-239、Pu-240があります。Pu-238、Pu-239、Pu-240の半減期は87.7年、24,000年、6,560年ですから、減衰はあまり期待できません。いずれも、アルファー(α)線を放出します。α線というのは、X線やガンマ線のような電磁波ではなく、粒子が加速され、エネルギーを得て飛んでくる放射線で、α粒子とも言います。α粒子とは、ヘリウム元素の原子核に相当するものです。α線は大きなエネルギーを持っていますが、物質の中で飛ぶ距離(飛程といいます)が短いのが特色です。空気中でも数センチしか飛びませんし、紙1枚で遮へいすることができます。つまり、プルトニウムがあったとしても、身体から10センチも離れていれば、α線を被ばくすることはなく、身体との間に紙が1枚あればα線は遮へいされ、身体には届かないということです。ですから、プルトニウムが身体の外にあるときには、α線の被ばくを心配する必要はほとんどありません。しかし、一方、プルトニウムを口や鼻、傷口などから体内に取り込んでしまうと状況が変わります。体内ではα線は数μmしか飛ぶことができませんが、その間に大きなエネルギーを全て放出します。そのため、近くの細胞は大きな影響を受けます。したがって、プルトニウム(他のα線を放出する放射性物質も同じです)については、体内に取り込まないことが重要で、一般的には、外出からの帰宅時に、手洗い、洗顔、うがいなどの励行により体内への摂取を防ぐことができます。
今回、発表された福島第一原発敷地内での数値は1.2Bq/kgでした。もし仮にこの数値のプルトニウムが水道水に混入したとすると、水道水の摂取制限が行われます(飲料水に対するプルトニウムの暫定規制値は1Bq/kg)。しかしながら、成人がこの水道水を2.2リットル飲んでも約0.7マイクロシーベルトの被ばくにしかなりません(プルトニウム239が混入したとして、実効線量係数2.5 x 10-4を使用して算出)。 プルトニウムは非常に重い元素で、大気中へは拡散しにくいものですが、もし雨などで川から海へ流れて行っても、大量の海水で希釈されます。従って、原子力発電所のすぐそばで捕獲・養殖しない限り、魚介類、海藻類に取り込まれるプルトニウムはごく微量で食べても健康への影響はないと思われます。
平成23年9月30日、文部科学省は福島第一原発敷地外としては初めて、浪江町(福島第一原発から約30km)で1平方メートルあたり4.0Bq、飯舘村(福島第一原発から約45km)で1平方メートルあたり0.82Bqのプルトニウム238を検出したと発表しました。なお、平成11〜20年度の全国調査で採取された1,054の試料では、平均1平方メートルあたり0.498Bq、最大で1平方メートルあたり8.0Bqでした。これは過去の大気圏核実験に由来するものと考えられ、今回の事故で検出されたプルトニウムはこの範囲に収まるとしています。また、濃度が最大であった場所(8.0Bq/平方メートル)における50年間の積算実効線量(外部被ばくと内部被ばくの合計)はプルトニウム238について0.027mSv、プルトニウム239と240の合計で0.12mSvと試算しています。
(掲載日:平成23年4月4日,平成23年4月6日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q29 福島原発事故に伴う人への放射線リスクはどのくらいと推測されるのですか?
A:福島第一原発の近辺を除けば、放射線リスクは放出された核分裂生成物の降下物による汚染に起因します。今回の福島第一原発事故のリスクを推測する参考事例としてチェルノブイリとスリーマイル島の事故を引用していますが、核分裂生成物による汚染は、実はそれより以前の方がかなりひどいということも思い起こす必要があろうかと思います。1950−60年代、米国などの国連の安全保障理事会常任理事国が大気圏内核実験をくり返し行ったため世界中の大気が汚染され、世界平均で1平方メートルあたり74キロベクレル(UNSCEAR2000 ANNEX C)の放射性セシウム(セシウム137)が降下していました。また、日本の国土にも福島第一原発事故以前の通常検知されていた量(1平方メートルあたりおおよそ0.02〜0.2ベクレル)の約1,000〜1万倍(1平方メートル当たり200〜2000ベクレル)の放射性セシウムが降下していました。しかもその汚染は核実験が禁止されるまで10年位続いていました(参考資料: Igarashi Y et al, J Environ Radioactivity, 31:157-169, 1996.)。この過去の事実を広く知ってもらうことも不安を和らげるために役立つのではないかと思います。ちなみにチェルノブイリの時も短期間ですが、福島第一原発事故以前の通常検知されていた量の約1,000倍の放射性セシウムが降下していました。現在50-60歳代以上の人は皆これらの被曝を経験していることになります。この人達にこれらのことによって健康影響がでているということはありません。くり返しますが、核分裂による放射性同位元素の世界規模での汚染は、福島第一原発事故以前の通常検知されていた量の1,000倍程度の放射性セシウムによる汚染を10年間、すでに経験ずみなのです。勿論、このことが安全性を確約するものではありませんが、もし、影響があったとしても、そのリスクは非常に少ないと思われます。どのくらい少ないのかを正確に理解するためには低線量放射線の生体影響研究の今後の進展を待たなければなりません。
(掲載日:平成23年3月27日,平成23年4月6日改訂)
Q28 放射線量や放射性物質での汚染情報でいろいろな単位が使われて混乱しています。シーベルトとベクレルはどう違うのですか?
A:ベクレルは、放射能の強さを示す単位で、放射性物質が1秒間に1回放射性壊変をする量を表します。放射性壊変が起きると放射線が放出されます。通常、ベクレル(Bq)は、単独で使われることは少なく、単位体積当たり又は単位重量当たりの放射能の強さを表すベクレル/リットル、ベクレル/kgなどがよく使われます。
シーベルトは、放射線防護の分野で使われる放射線量の単位です。放射線が生物に及ぼす効果は、放射線の種類やエネルギーやそれを受ける生体組織の違いによって異なりますので、そのことを考慮して導入された単位です。報道などでベクレル(Bq)をシーベルト(Sv)に置き換えた場合の数値が紹介されていますが、定義・性質の異なる単位を正確には換算できません。しかし、各放射性物質毎にエネルギーやそれを受ける生体組織での吸収率など違いを考慮した値(実効線量係数)を用いて換算をして両者の比較の目安とされています。例えばホウレンソウ1kgにヨウ素131が2,000ベクレルある場合、2,000 ベクレル/kg × 2.2×10-8 シーベルト/ベクレル(ヨウ素131を経口摂取した際の実効線量係数) = 0.000044 シーベルト/kg(44 マイクロシーベルト/kg)となります。この汚染したホウレンソウを成人の葉菜の1日摂取量 0.1kg分、1回食べるとすると、44 マイクロシーベルト/kg ×0.1=4.4マイクロシーベルト被ばくすることになります。
(掲載日:平成23年3月27日)
Q27 野菜や魚介類など飲食品の汚染が報告され危険度の目安として暫定基準値が使われていますがこれはなにですか?
A:我が国には、これまで野菜や水などの飲食物に対する放射性物質による汚染の明確な規制基準値がありませんでした。そのため、厚生労働省は、平成23年3月17日に、食品衛生法の観点から飲食物として摂取することが許される放射性物質濃度について暫定規制値を定めました(平成23年4月5日改訂) (参考資料)。この値は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を受けて原子力安全委員会が策定した原子力防災指針の「飲食物の摂取制限に関する指標」(参考資料)を参考にして作られたものです。この規制値は、「1年間その放射能濃度の水や食物を摂取し続けたときに全身が被ばくする線量(正確には実効線量)が5mSv以下、ヨウ素の場合は甲状腺が被ばくする線量(正確には等価線量)が50mSv以下」という考え方に基づいて決められています。また、単一の食物ではなく、さまざまな食物を食べたときの合計値としてこの規制値以下になるように決められています。具体的には、摂取制限すべき放射性物質として、放射性ヨウ素、放射性セシウム(137および134)、ウランおよびプルトニウムの4種をえらび、対象とする食品として、放射性ヨウ素については、(1)飲料水、(2)牛乳・乳製品、(3)野菜類(根菜と芋類を除く)および(4)魚介類(4月5日追加)の4品目、放射性セシウムについては、(1)飲料水、(2)牛乳・乳製品、(3)野菜類、(4)穀類、(5)肉・卵・魚・その他の5品目、ウランとプルトニウムに関しては、(1)飲料水、(2)牛乳・乳製品、(3)野菜類、(4)穀類、(5)肉・卵・魚・その他に(6)乳幼児用食品を加えた6品目について定められています。
放射性ヨウ素の場合、(1)飲料水と(2)牛乳・乳製品の規制値は、1キログラムあたり300ベクレル、(3)野菜類と(4)魚介類の規制値は1キログラムあたり2,000ベクレルです。但し、(2)牛乳・乳製品については1キログラムあたり100ベクレルを超えるものは乳児用調整粉乳および直接飲用する乳として使用しないこととされています。
放射性セシウムの場合、(1)飲料水と(2)牛乳・乳製品に対する規制値は1キログラムあたり200ベクレル、(3)野菜類、(4)穀類、および(5)肉・卵・魚・その他、に対しては1キログラムあたり500ベクレルです。詳しくは日本放射線影響学会がまとめた参考資料をご覧下さい。なお、農林水産省が発表している野菜および乳製品に関するQ&Aがhttp://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/seisan_situmon.html#gyunyu3に掲載されています。
食品安全委員会は平成23年7月26日の「放射性物質の食品健康影響評価に関するワーキンググループ(第9回)」において、放射線による健康影響が見出されるのは、通常の一般生活において受ける放射線量を除いた生涯の累積線量として「おおよそ100mSv」と判断し、今後の規制値策定にあたっては、内部被ばくと外部被ばくの合計として生涯100ミリシーベルトを基準とする方針を打ち出しました。小宮山厚生労働大臣は10月28日の閣僚懇談会で、平成24年4月を目途に、食品からの被ばくを年間1ミリシーベルトに引き下げる方針を示しました。現在、「飲料水」、「牛乳・乳製品」、「一般食品」、「乳児用食品」の4項目に分けて、新たな規制値(それぞれ1キログラムあたり、飲料水は10ベクレル、牛乳は50ベクレル、一般食品は100ベクレル、乳児用食品は50ベクレル)の案が提示され、検討が行われています。
(掲載日:平成23年3月27日、平成23年4月4日改訂、平成23年4月8日改訂、平成23年12月28日改訂)
A:「放射線体表汚染」とは、放射性物質(ヨウ素131やセシウム137など)が身体の表面に付着することです。今回のような原発事故の際に、高熱により核燃料棒の破損が生じた場合、気体となって飛んでいく核分裂生成物のうち、半減期8日のヨウ素131や半減期30年のセシウム137等の放射性物質が、気流とともに拡散し地表に降下してきます。このような時に人が屋外にいると、衣服や頭髪や露出している皮膚等にヨウ素131やセシウム137等の放射性物質が付着することになります。
「放射線被ばく」には大きく分けて「外部被ばく」と「内部被ばく」があります。外部被ばくは、体の外にある放射線源からの被ばくです。内部被ばくは、体内に取り込んだ放射性物質によって身体の内側から放射線を浴びることをいいます。
放射性物質は、気体の放射性物質を吸い込む、あるいは、放射性物質を含んだ飲料水や食物を飲食することによって体内に取込まれます。また、創傷面が露出していると、そこから放射性物質が体内に侵入する可能性が高まります。従って、放射性物質で身体を汚染させない、放射性物質を体内に取り込まないようにすることが被ばくの機会を減らすために有効です。
今回の福島第一原発事故では、屋内退避地域や局所的に著しく高い放射線、放射能が検出された地域を除けば、特別な対策をとらなくても、健康に影響が出る心配はありません。しかし、無用な被ばくを避けるために日頃から以下のようなことに心がけてください。
まず、屋外から家の中に放射性物質を持ち込まないために、
(1)不要・不急の外出を控える。
(2)不必要に雨にあたらない。
(3)帰宅時に上着を脱ぎ、付着している微粒子を払い落とす。
などをおこなってください。また、体内への摂取を防ぐ為に、(4)マスク、帽子、手袋などを着用し肌の露出を避ける、(5)体表面に傷があるときは絆創膏などで覆う、(6)帰宅したらすぐに手洗い、うがいをする、あるいはシャワーを浴びる、などを心がけてください。このように、日常から、インフルエンザの防止や花粉症対策のためにしていることが、放射線被ばくを避けるためにも有効です。
(掲載日:平成23年3月27日、平成23年4月7日改訂)
Q25 放射線の安全規制値はどのようにして決められているのですか?
A:放射線安全規制値は、過去50年以上にわたって科学者がおこなった原爆被ばく者などの疫学調査および放射線の生体影響研究で得られた膨大な研究成果を、国連(UN)および国際放射線防護委員会(ICRP)などの専門家が収集して解析し、定期的(およそ10年ごと)におこなわれる放射線の人体への影響に関する勧告をもとに導きだされます。この勧告を受けて国際原子力機関(IAEA)等が、さらに検討して、安全のための規制値を国際的に提言します。その提言を受けて各国が自国の判断で規制値を定め法制化しています。我が国もこの勧告を受入れ安全規制値を作成しています。その安全規制値は、一般人に対して年間1,000マイクロシーベルト(=1ミリシーベルト)、放射線業務従事者に対して年間2万マイクロシーベルト(=20ミリシーベルト)とされています。放射線の影響は、ある一定の線量以上を浴びたときにだけに現れる「確定的影響」と、どんなに低い線量の被ばくであっても被ばく線量に比例して影響が現れると仮定されている「確率的影響」に分けられています。確定的影響が10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)以下では現れるという報告はありません。一方、発がんや遺伝的影響は確率的影響といわれ「どんなに低い線量の被ばくであっても被ばく線量に比例して影響が現れる」と仮定されています。しかし、実際は、疫学研究でも実験研究でも、10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)以下の被ばくで、統計的に有意な影響が観察されたことはありません。したがって、この10万マイクロシーベルトが人に健康影響を及ぼさない最少の放射線量として安全の目安とされています。この規制値が疫学調査研究や実験の結果で人体に影響が現れない10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)より小さい値なのは、より一層安全側にたって規制するという厳しい考えを採用しているからです。一般人に対する規制値である年間1,000マイクロシーベルト(=1ミリシーベルト)は自然放射線量とほぼ同じレベルです。自然放射線とは、宇宙線、大地、空気、および食品や水に由来する放射線で、その量は、地域や標高などによって異なりますが、日本での平均はおよそ1,400マイクロシーベルト(=1.4ミリシーベルト)です。標高が高い地域では宇宙線により、花崗岩が多い地域では大地からの放射線により自然放射線量が高くなります。 したがって、一般人に対する規制値である年間1,000マイクロシーベルト(=1ミリシーベルト)というのは、「放射線事業者に対して放射線業務を行なうにあたっては、一般人の生活地域に対して放射線量が自然放射線レベルをこえないように保ちなさい」という意味であると言い直すことができます。国際放射線防護委員会(ICRP)が、福島原発の事故に対して放射線防護の考え方に関するコメントをだしました(http://www.icrp.org/index.asp、 (参考資料)。その内容では、従来とおり2万-10万マイクロシーベルト(=20-100ミリシーベルト)の線量枠内の線量に設定して防護を徹底するように勧告しています(ここから世界各国の屋内退避、避難等の基準に関する参考資料が入手できます)。
放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法 (平成23年8月30日公布、平成24年1月1日全面施行予定)では、一般人に対する規制値である年間1ミリシーベルトに準じて今回の事故で過剰に外部被ばくする放射線量(追加被ばく線量)が年1ミリシーベルト以上となる地域、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり8,000ベクレル超の災害廃棄物を対象に、除染実施計画を定めることになりました。追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトの目安は、1時間当たりの空間線量率の測定値に換算すると、毎時0.23マイクロシーベルトにあたるとされています(参考資料)。また平成24年4月を目途に、食品からの被ばくも年間1ミリシーベルトに引き下げることになりました。 (Q27参照)
(掲載日:平成23年3月27日、平成23年3月30日改訂、平成23年4月10日改訂、平成23年12月28日改訂)
A:今回の原子力発電所の事故に伴う放射線の数値は、時間あたりのマイクロシーベルト(マイクロシーベルト毎時、マイクロシーベルト/時間、マイクロシーベルト/h)と表現されているのに、この「時間あたり」を飛ばして議論されることが見受けられますので、注意してください。放射線の健康影響は、一定時間当りの線量(線量率)がどれくらいかによって現れ方が違ってきます。総被ばく線量が同じでも、短時間で一度に被ばくする場合と長い時間かかってじわじわと被ばくする場合では、後者の方が影響の程度が低いことが突然変異の誘発などの実験で報告されています。
地面に降下した放射性セシウム由来の放射線の測定値は、同じ場所でも地面からの距離で異なるので、地上からの距離を明記する必要があります。環境放射線の測定値は線量率で示されるのに対して食品や飲料水として放射性物質を取り込んだ場合は、取り込んだ放射性物質が体内に留まり、それから50年間(成人)または、70年間(子供や乳幼児)に放出される放射線の総量として計算した線量(預託線量)が用いられます。
(掲載日:平成23年3月24日、平成23年12月28日改訂)
Q23 広島長崎で起きた原爆と福島原発で起きている事故は同じなのですか?
A:広島・長崎の原爆は核分裂反応が空中で起き、なにもさえぎるものがない状態で、大量の放射性物質が地上に降り注ぎました。チェルノブイリの事故では、核分裂反応が暴走して原子炉が爆発し、最終的には火災によって、原爆を上回る量の放射性物質がまき散らされました。これに対して、今回の福島原子力発電所では地震直後に原子炉が自動停止し、核分裂反応はその時点で止まっています。ただ、原子炉と燃料貯蔵プールの冷却機能が失われたために核燃料が過熱して一部損傷し、放射性物質の放出が起きているのです。各地で観察されている環境放射線量(大気中や降下物の放射線量)の測定結果の推移より、最初の数回の水素爆発で放射性物質が環境に放出された直後に放射線量が急激に増加し、その後は徐々に減少(降雨により一時的に増加している場合もあります)していることから、原発からの放射性物質の大気への放出はほぼ止まっていると考えられます。原子力発電所周辺の土地の利用を制限するかどうかは、その場所に降った放射性物質の種類と量によって決まります。これ以上、大規模な放出がなければ、何らかの制限が必要になったとしても、チェルノブイリのように広範囲・長期間に及ぶことはないと思われますが、今後の事故の状況展開を注視する必要があります。いずれにしても、政府は、しっかりとした汚染調査を実施し、その結果をもとに判断する必要があります。
(掲載日:平成23年3月22日、平成23年4月10日改訂)
A:計画的避難区域では、洗濯物を外に干さないでください。
緊急時避難準備区域は、通常の生活が可能な状況では、外へ干して大丈夫ですが、事故現場で緊急的な事態悪化があると放射性物質が短時間で飛来する可能性がありますので、できるだけ外に干すのを控える方が良いでしょう。
計画的避難区域や緊急時避難準備区域以外で、放射線量が通常レベルよりも高くなっていて、放射性物質が土壌などから検出されている地域では、以下に挙げるような理由で洗濯物を外に干しても大きな問題はないと思われます。まず、公表されている空中における放射性物質量(ダストサンプラーでの測定)の観測値によると、現在は、福島原発から大気中への新たな放射性物質の大量放出は起きておらず降下する放射性物質は減りつつあります。その一方で、土壌の表層には、平成23年3月中旬の水素爆発で飛散した放射性物質が降下し留まっています。このうち、半減期が8日と短いヨウ素131は急速に減少していますが、半減期が30年と長い放射性セシウムが残留しています。そのため、乾燥した日に強い風が吹けば、表面の放射性物質を含む土が舞い上がる可能性がありますが、目に見えるほど大量の土が洗濯物に付着することはないでしょうから、外に干したからといって、健康に影響が出るほどの被ばくにつながることはありません。しかし、室内に放射性物質をなるべく持ち込まないようにするために、風の強い日は、外に干すのを避けるようにする、洗濯物を室内に取り込む前によく払うようにするといった花粉対策と同じ対処法を心がけるとより安心です。
なお、関東・東北地区でも、放射線量が原発事故の起きる前(通常レベル)と比べてほとんど変わらない地域や、それより遠隔地では、まったく問題ありません。
(掲載日:平成23年3月20日、平成23年4月10日改訂、平成23年4月26日改訂)
Q21 原乳から基準を数倍上回る放射能が検出されたようですが飲んでも大丈夫ですか?
A:原乳からは牛乳や乳製品が作られますが、市場に流通している牛乳や乳製品は放射能の濃度が基準を上回らないように管理されていますので市場に出回ることはほとんどありません。首相官邸災害対策ページ(http://www.kantei.go.jp/saigai/alert.html)に農作物の放射性物質汚染量測定結果と、それに基づいた規制についての情報が公表されていますので見てみてください。それでも、汚染した牛乳が市場に出回ってしまって、仮に放射性物質の濃度がいま報告されている基準を数倍上回る牛乳を1年間飲み続けたとしても、受ける放射線量は、私たちが1年間に自然から受ける放射線の数倍程度の量です。現在のところ牛乳を飲むことによる健康への影響を心配する必要はありません。農林水産省が発表している野菜および乳製品に関するQ&Aがhttp://www.maff.gojp/j/kanbo/joho/saigai/seisan_situmon.html# gyunyu3に掲載されています。参考にしてください。
(掲載日:平成23年3月20日)
Q20 今回の事故によって受けた放射線や放射能が蓄積した地域に1年も住み続けると被ばく線量が安全な量を超えてしまうことが心配ですが大丈夫でしょうか?
A:政府は、平成23年4月22日に、事故発生から1年間の積算線量が20ミリシーベルトに達することが予想される地域を「計画的避難区域」と設定し、その地域に居住する住民は5月中に避難する指示を出しました(参考資料)。この指示は、私達が通常一日のうち8時間を屋外で、残りの16時間を屋内(木造建物)で過ごすと考え、屋内における被ばく線量が屋外の40%*注1であると仮定した際に、積算線量が年間20ミリシーベルトに達すると予想される地域に適用されています。実際には、屋外で毎時3.8マイクロシーベルト以上の放射線が観察された地域が対象になったことになります。
事故の後、5月12日までの放射線線量のデータ(文科省HP;http://www.mext.go.jp/“全国の放射線モニタリング状況“)の時間経過を解析すると、事故後、多量の放射性物質の放出があったのは3月中旬の数日間に限られており、放射性ヨウ素など半減期の短い放射性物質の減少などによって放射線量レベルは次第に減少していることがわかります。今後、事故が収束するにつれ、さらに、そのレベルが下がってゆくと予想できます(追記:事故から半年以上経った現在では半減期30年のセシウム137の寄与が大きいので、最初の頃のように空間放射線量が急激に減少することはなくなりましたが、原発からの新たな放射性物質の放出はほとんどありません)。こうしたことを考えると、年間20ミリシーベルト以上の被ばくをする人はいないと予想されます。
がんは、確率的影響だから、どんなに少ない量の放射線を浴びたときでも、発がんの危険があると思われている人も多いと思います。しかし、これまでの広島・長崎での原ばく被ばく者を対象とした疫学調査の結果から、30歳で1,000ミリシーベルトを被ばくした人が70歳に達した時の固形がんリスク(相対リスク)は1.5倍と予想されていますhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jrr/gimon/genbakuganhindo.pdf。従って、0.5が被ばくした線量に比例しています。また、総被ばく量が同じでも、被ばくが瞬時ではなく、長期にわたってじわじわと被ばくした場合は、その危険度(リスク)が半分より小さくなると考えられています。加えて、国立がんセンターから発表されている2005年のデータに基づく日本国民の生涯がん羅患リスク(生涯でがんと診断されるおおよその確率)(参考資料)は、男性で54%、女性で41%です (http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/pub/statistics01.html。従って、長期にわたって積算量として100ミリシーベルトを被ばくした場合、がん罹患リスクが男性で1.35%*注2、女性で1%上積みされると推定され、それほど大きな値ではないことがわかります。疫学調査では、線量が低くなると、放射線を被ばくした人々と放射線を被ばくしていない人々の発がん率の差はほとんど検出できなくなります。従って、居住が制限された地域以外で居住する限り被ばくによる発がんリスクを心配することはないと思われます。
(掲載日:平成23年3月20日、平成23年3月22日改訂、平成23年4月10日改訂、平成23年5月10日改訂、平成23年12月28日改訂)
*注1:原子力安全委員会が公表した「屋内退避等の有効性について」によれば、屋内での生活によって、外部被ばくおよび内部被ばく量が4分の1から100分の1程度まで低減するとされています。
*注2:100ミリシーベルトの被ばくで予想される日本人男性の発がん上乗せ分=0.5(1,000ミリシーベルトの放射線の被ばくで増加する発がん頻度)x0.1(線量の減少分)x0.5(低線量被ば
くによる発がん低減率)x0.54(男性の自然発がん率)=0.0135
Q19 野菜および魚介類から基準を数倍上回る放射性物質が検出されたようですが食べても大丈夫ですか?
A:野菜および魚介類などは、放射性物質による汚染検査をしていますので放射性物質を含むものは市場に出回りません。しかし、もし、その検査をすり抜けて放射性物質が基準を数倍上回る野菜などを通常の量を何回か食べたとしても健康への影響があらわれるとは考えられません。基準を上回る濃度の放射性物質を含む野菜を大量に取り続けることがなければ、健康への影響は心配しなくても大丈夫です。一つのものを食べ続けないように心がければより安全です。さらに詳細をお知りになりたい方は、食品安全委員会が発表している情報(http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf)および(独)水産総合研究センターが発表している情報(http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/index.html)をご参照下さい。
平成23年7月に、放射性セシウムに汚染された稲わらを給餌された牛の肉が出荷され、最高1kgあたり4350ベクレルの放射性セシウムが検出されました。この牛肉を200g食べてしまった場合の生涯の被ばく線量は約14マイクロシーベルトです(放射性セシウムの経口摂取による換算係数は、セシウム137とセシウム134が等量含まれると仮定すると、0.016マイクロシーベルト/ベクレル)。食品にはカリウム40などの天然の放射性物質が含まれていて、私たちは食べ物から年間約400マイクロシーベルトの被ばくをしています。上記の肉を1回食べたことにより、この被ばく線量が数パーセント上乗せになったことになりますが、これは個人の食事量のばらつきの範囲と考えられます。
食品の放射性物質検査は、厚生労働省、農林水産省や各地方自治体のホームページで参照できます。また、(財)食品流通構造改善促進機構では、厚生労働省の発表をもとに、食品中の放射性物質の検査結果をデータベース化して公表しています(http://yasaikensa.cloudapp.net/)
掲載日:平成23年3月20日、平成23年3月29日改訂、平成23年4月12日改訂平成23年11月18日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q18 首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。健康に影響はないでしょうか?
A:雨の中にも事故によって放出された放射性物質が含まれますが、その量はわずかです。東京都の放射線モニタリングデータ(環境中の放射性物質から放出されている放射線の時間あたり線量の測定結果、文部科学省発表)では、平成23年3月末には0.110〜0.120マイクロシーベルト毎時で推移しています。お住まいの地域の情報は、文科省あるいは各地方自治体のホームページに公開されていますのでそこから入手して応用してください。仮に1年間現状の大気に曝されたとすると約1ミリシーベルトの被ばくを受けることになりますが、これは国が定めた一般の人の被ばく限度の値に相当します。全く健康に影響を与える量ではありません。雨に濡れて放射性物質が皮膚についたとしても、健康に影響を与えるような量ではありませんので心配ありません。しかし、この時期ですから不用意に雨にぬれ続けることは控え、ぬれたら帰宅後に拭き取るようにしてください。
降雨によって地表に降下した放射性物質の量は、「定時降下物モニタリング」(文部科学省ホームページ:(http://radioactivity.mext.go.jp/ja/monitoring_by_prefecture_fallout/)が参考になります。関東地方では、平成23年3月21日に事故後初めてまとまった雨が降り、大気中の放射性物質が雨とともに地表に落ちました。この時の雨には放射性物質が含まれていたため、平成23年3月20日9時〜21日9時の24時間に採取した降下物の量は急激に増加しています。たとえば、この期間に1時間、外に立っていて雨に濡れ続けたとしたら、茨城県ひたちなか市では約400ベクレルのヨウ素131、50ベクレルのセシウム137が降下しています(上から見た人間の断面積を0.1m2と仮定、24時間分のデータを単純に24で割って1時間分とした)。降った分がすべて身体の中に入ったとしても、被ばく量は10マイクロシーベルト(0.01ミリシーベルト)未満であり、年間の自然放射線による被ばく量(日本平均で1.4ミリシーベルト)に比べても非常にわずかです。
平成23年12月現在、定時降下物の量は不検出または非常にわずかであり、降雨によって増えることもありません。したがって現在の雨には原発由来の放射性物質はほとんど含まれていません。
(掲載日:平成23年3月20日、平成23年3月29日改訂、平成23年4月10日改訂、平成23年11月24日、平成23年12月28日改訂)
A:お母さんが食品や飲料の摂取、また空気中のものを吸入することによって放射性物質を体に取り込むと、そのごく一部は母乳に移行します。しかし、基準を上回っても、いま報告されている程度の濃度なら、それを含む食品や飲料を大量に連続して取り続けなければ、授乳による放射性物質の赤ちゃんへの影響は心配しなくても大丈夫です。お母さんがどうしても心配なら粉ミルクに変えることも一つの方法ですが今の状況ではその心配には及びません。また粉ミルクを与えるとなると、水道水のことが問題となってきます。妊娠中および授乳中の女性への水道水に関するご案内が日本産婦人科学会から発表されていますのでご参照下さい。 (http://www.jsog.or. jp/news/pdf/announce_20110324.pdf)
平成23年6月に、国立保健医療科学院から、「母乳中の放射性物質濃度等に関する調査について」という報道発表がされました(http://www.niph.go.jp/soshiki/seikatsu/bonyuu_results. pdf)。これによると、調査対象者108人中101人は不検出、福島県内の7人より微量の放射性セシウムが検出されました(最高値は、セシウム134が6.4ベクレル, セシウム137が6.7ベクレル)。この値は非常に微量で、この母乳を赤ちゃんが1年にわたって摂取したとしても健康影響が出るような値ではありません。詳細は、日本医学放射線学会をはじめとする6学会が合同で発表した、上記調査に関するQ&Aをごらんください(http://www.jsog.or.jp/news/pdf/Q&A20110608.pdf)。この資料の最後の文章を以下に引用します。「今回の基準値以下の放射線量は、あなたや、あなたの大切なお子さんの健康に悪影響を及ぼす放射線量よりもはるかに少量です。そして、このわずかな放射線量よりも、母乳に含まれる様々な子どもの成長に役立つ成分のほうが、はるかにお子さんの成長にとって重要であることをご理解いただければと思います」
(掲載日:平成23年3月20日、平成23年3月29日改訂)
Q16 水道水から放射性物質が検出されたと聞きましたが、飲んでも大丈夫ですか?また、その水を食器洗いや風呂用に使っても大丈夫ですか?
A:平成23年3月22日に東京都水道局金町浄水場(葛飾区)で水道水のヨウ素131濃度が210ベクレル/kgであることが報告されました(http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/press/0323suidou.pdf)。この値は、我が国の飲料水中の放射性物質の濃度に関する暫定基準で定められている成人に対する基準値の300ベクレル/kgを下回ったものの、幼児に対する基準値の100ベクレル/kgを超えていたため東京都23区、武蔵野市、三鷹市、町田市、多摩市、稲城市において水道水の摂取制限が行われ、乳児がいる家庭にペットボトルの配布が行われました。飲料水を介して放射性物質を体内に取り込むと取り込まれた放射性物質から発生する放射線で組織や臓器が被ばくし健康影響が出る可能性がありますので、摂取した放射性物質の量から被ばく線量を推測せねばなりません。その際、摂取した放射性物質の質と量、組織や臓器の種類などの違いによる被ばく線量の違いを補正するために実効線量係数がもちいられます。国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射性ヨウ素131の実効線量係数を、成人の場合は0.022マイクロシーベルト/ベクレル、乳児の場合は、ヨウ素131の影響を受けやすいことを考慮しておよそ8倍の0.18マイクロシーベルト/ベクレルと定めています。一方、原子力安全委員会は、原子力施設等の安全審査時に、日本人の1日あたりの水分摂取量を、成人は2,2リットル、乳児が1リットルとしていますので、これらの値を使って、金町浄水場で観測された210ベクレル/kgのヨウ素131が検出された水道水を飲んだときに受ける放射線量を計算すると成人は約10マイクロシーベルト、乳児は約38マイクロシーベルトを被ばくすることになります。これまで、100ミリシーベルト(10万マイクロシーベルト)以下の被ばくでは人体に対する影響が認められていませんが、乳児でも、その1/2,600以下の値です。そして、平成23年3月31日現在すべての地域の水道水で乳児の摂取基準値を下回っていますので、飲んだとしても成人も乳児も健康への影響を心配しなくても大丈夫です。ただし、暫くの間は、お住まいの市町村の指示が出ていないかどうかを確かめて、出ていればその指示に従って下さい。仮に基準を数倍程度上回る放射性物質が水道水から検出されそれを長期間にわたって飲み続けたとしても、健康への影響を心配するレベルではありません。また、そのような水を食器洗いや風呂に使うことに関しては、規制の対象になっていません。実際に、飲む場合よりも被ばくする放射線量が更に低くなるので健康への影響を心配する必要はありません。
尚、水道水中の放射性物質に関する調査の結果は、厚生労働省のホームページで見ることができます(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/kentoukai/houshasei_ monitoring. html)。平成23年11月のデータでは、福島県を含むすべての検査箇所で検出限界以下となっています。
(掲載日:平成23年3月20日、平成23年3月24日改訂、平成23年4月4日改訂、平成23年4月10日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q15 福島原発から50km離れたところに住んでいますが、家で窓を開けたり、エアコンを使ったりしても大丈夫ですか?
A:窓を開けたり換気扇を使って換気をしたりすることにより、屋外で浮遊している放射性物質(放射能)が屋内に流入し、それによって内部被ばくが生じる可能性はありますが、平成23年4月26日文科省発表のデータ「ダストサンプリング、環境試料及び土壌モニタリングの測定結果」(http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304006.htm)によれば、空気中の放射能濃度の最大値は、I-131の場合、約40kmの小野町、小野新町における1.33Bq/m3、同様にCs-137の場合、約35kmの川俣町山木屋における0.73Bq/m3です。Cs-134は検出されていません。これらの濃度に基づき内部被ばく線量を計算(呼吸量はICRP71、実効線量係数はICRP72に基づく)しますと、大人は0.85μSv、乳幼児は0.50μSvとなり、自然放射線による内部被ばく線量1.55mSv/年(国連科学委員会2008年報告)の約1800分の1です。また、通常の換気率の建物の中でも内部被ばくは屋外の1/4〜1/10に低減することが知られています(http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/press/0323suidou.pdf)(参考資料)。したがって、現在の放射線環境から考えますと、家で窓を開けたり、エアコンを使ったりしても問題はありません。特に家庭用エアコンの場合、外気を直接取り入れない循環式が圧倒的に多いですから安全に使用できます。お使いのエアコンがどのようなタイプであるかをお確かめください。しかし、気象条件によっては30km圏外でも放射線量が高くなるところがある可能性がありますので、自治体や政府からの指示があればそれに従って下さい。
平成23年11月現在、新たな放射性物質の放出は殆どありませんので、空気中に浮遊する放射性物質はありません。問題となるのは土に付着したセシウムなどが土埃として舞い上がった場合ではないかと思われます。福島原発から北西方向は現在でも空間線量率が高く、ある程度の注意が必要かもしれません。しかしそれ以外の方向では空間線量率は低下しているところが多く、余り心配する必要はない状況であると思われます。ご承知のように距離や方向だけでは放射線量の分布を一般化できない状況ですので、福島県や自治体の測定結果を基に、各自治体の指示に従って下さい。
(掲載日:平成23年3月20日、平成23年4月23日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q14 仮に事故が拡大して放射線の影響がチェルノブイリ級まで広がった場合、大阪や東京での生活に影響はありますか?
A:平成23年3月15日頃から東京でも短時間の放射線レベルの上昇が見られていますが、新聞報道等にもあるとおり、それによる被ばく線量は少なく、健康への影響はありません。外出を控える必要もありません。 問題は、事故が進展してさらに深刻な事態になった場合にどうなるかです。今後の展開は全く予測できませんので、ある程度極端な状況を想定して、過去の事例から学ぶしかありません。このような観点からはっきりしているのは、これまでの原子力事故において、一般住民の間で白血球が減る、髪の毛が抜けるといった急性症状は、観察されていないことです。史上最悪と言われたチェルノブイリの事故でも、2008年に発行されたUNSCEARの報告(Sources and Effects of Ionizing radiation, UNSCEAR 2008 Report Annex D: Health effects due to radiation from the Chernobyl accident, United Nations, New York, 2011.(国連科学委員会2008年報告書附属書D:チェルノブイ リ事故の放射線による健康影響))で見る限り、一般住民に確認されている放射線影響は、高濃度に汚染した地域における子どもの甲状腺がんだけです。それも、事故の後、放射性ヨウ素で汚染した牛乳を飲み続けたことが主な原因と言われています。当初、旧ソビエトが事故の存在を認めず、早い段階での避難や食品の摂取制限等が適切に行われなかったのです。 したがって、これまでの原子力事故の経験に照らし合わせる限り、東京が人の住めないような場所になるとは考えにくい状況です。むしろ、人々がパニックに陥って西へ移動し始めた場合の混乱の方が懸念されます。大阪に関しては、どのような状況を想定したとしても全く問題ありません。
平成23年11月の時点では、福島原発からの放射性物質の放出は大きく減少しており、殆ど問題のないレベルです。チェルノブイリ事故ほど大量の放射性物質が放出されておらず、しかも食品や水については高濃度汚染のあったものについては当初から出荷停止などの措置がとられましたので、被ばくなどの影響は極めて小さく、現在では生活に影響はないと言えます。
(掲載日:平成23年3月18日、平成23年3月22日改訂、平成23年3月24日改訂、平成23年12月28日改訂)
A:放射線を被ばくした場合の発がんリスクには、被ばく線量、被ばく時の年齢、性別など様々な要因が影響します。2003年の放射線影響研究所の論文に掲載されている広島・長崎の原爆被ばく者の発がん疫学調査結果から推測されている推定生涯がんリスクを 参考資料として示しますのでご覧ください。原爆被爆者の疫学情報に基づいた生涯リスクの計算には、被ばく時に若かった人の追跡が終わっていないので、将来予測をおこなって推測しています。例えば、原爆投下時に30歳であった男性で被ばくしなかった人の集団は、その25%の人ががんで死亡しましたが、100ミリシーベルト を被ばくした人の集団は、その25.9%ががんで死亡したということになります。被ばく時30歳であった人と比べると、50歳であった人の生涯がん死亡リスクは1/3くらい低く、逆に10歳であった人では2倍くらい高いことがわかります。100ミリシーベルトより線量が低くなると、疫学調査では、放射線を被ばくした人々と放射線を被ばくしていない人々の発がんリスクの差を検出できなくなります。
(掲載日:平成23年3月17日、平成23年5月10日改訂、平成23年7月7日改訂)
A:放射線を被ばくしたことによって、身体を構成する細胞が大量に死んだ場合、その細胞が関係する部位に異常が現れます。例えば、骨髄には血液成分を作り出すおおもとの細胞(造血幹細胞)がありますが、放射線被ばくによりこれらの細胞が死に絶えると、結果として白血球や血小板、赤血球が作られなくなり、減少します。同じように毛髪の根元にある毛根の細胞が死ねば、髪の毛が抜けます。しかし、死ぬ細胞が少なければ問題にはならないため、ある程度以上の被ばくでない限り症状は現れません。最も敏感な影響とされる白血球の減少でも、50万マイクロシーベルト(=500ミリシーベルト)という線量が必要です。これに対して、がんと遺伝的影響は、細胞の突然変異が原因であり、低い線量でも発生確率はゼロではないとされています。しかし、10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)以下の被ばくでこれらの影響が人間に実際に生じるという結果は現在まで得られていません。
(掲載日:平成23年3月16日、平成23年3月24日改訂)
Q11 被ばくすると人に影響を及ぼす放射線量はどのくらいですか?
A:短期の被爆では100〜200ミリシーベルト以上、長期間にわたる被爆ではその2倍量以上と考えられます。最も感受性の高い健康影響は、染色体異常の誘導といわれていますがそれでも100ミリシーベルト以下では観測されません。100ミリシーベルト程度の被ばくでは統計的に有意な差は検出されていません。
(掲載日:平成23年3月16日、平成23年3月22日改訂、平成23年3月24日改訂、平成23年3月29日改訂、平成23年12月28日改訂)
A:放射性物質は、除染すれば、それ以後は、被ばくの影響はでません。もっとも、汚染されていたときに受けた放射線の影響は現れますので、長期間汚染されたままになっていたことが予想される場合は、医療関係者、自治体の担当者などに相談してください。除染と言う言葉は難しそうに聞こえますが、実際は衣服を着替えてシャワーを浴びるなど通常の入浴と変わりありません。このとき着替えた洋服は洗濯してから着れば問題ありません。洗濯できないときはビニールのゴミ袋などに入れて洗濯できるまで屋外で保管してください。
平成23年11月現在、避難地域を除くいずれの地域にお住みになっていても洗濯ができないという状況にはないと思いますので、衣類は洗濯すれば除染できます。また、物品の除染は、まずペーパータオルやウエットティッシュなどで拭き取り、それでも駄目な場合には、洗剤を使用してブラシなどで洗浄するとよいでしょう。洗浄しても除染できないものは、残存する汚染レベルとそのものの価値を参考にどう対処するかを判断することになります。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月22日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q9 避難地域からの移動する場合、どの段階からスクリーニングや制限が必要になるのですか?
A:事故直後、避難区域から避難された住民について、福島県内の避難所や保健所では、身体表面に放射性物質が付着していないかどうか、住民の方々の測定が行われました。その結果、3月17日までに測定された約4万2千人全員がガイガーカウンターで毎分10万カウントを下回り、全身をシャワーで洗い流す「全身除染」は必要ないと判定されました (毎分10万カウントというのは、測定器が検出した放射線の本数が、1分間あたり10万本という意味です。) 実際には、毎分10万カウントを多少上回ったとしても、それによってご本人や他の人に健康影響が生じるわけではありません(詳しくは放射線医学総合研究所のページ http://www.nirs.go.jp/information /info.php?i3 をご覧ください)。しかし、無用な被ばくはしないにこしたことはありませんし、また、近くで他の対象者や物を検査する際に余計な放射線が混入する原因になっても困るので、このような基準が設けられているのです。住民の方々に対する放射線測定の実施範囲は、現在、避難区域への一次立ち入りのあとに実施されています。避難対象地域の方は、避難担当者等に測定の必要性をお尋ねください。それ以外の方について、測定は必要ありません。まして、福島近郊に滞在したという理由で、医学検査等を行う意味は全くありません。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月20日改訂、平成23年12月28日改訂)
A:放射線の生体に対する危険度は、原爆被爆者の疫学調査の結果をはじめ、多くの動物実験や生物学的実験で積み重ねられた研究成果から推測されています。積み重ねられた研究成果は、世界保健機関(WHO)の科学委員会、国際連合科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)で定期的に調査され、その結果を総合的に検討して危険度が推測され、放射線の影響が出ない放射線被ばく限度が提案されます。その結果を受けて、放射線の危険を避けるための規則が作られています。現在、一般人の被ばく限度は、年間1,000マイクロシーベルト(=1ミリシーベルト)ですが、この値には自然の放射線被ばくと、医療で受ける放射線被ばくは含まれません。ちなみに日本人が受ける平均自然放射線量は年間1,500マイクロシーベルト(=1.5ミリシーベルト)程度です。また、放射線業務に従事する人では年間2万マイクロシーベルト(=20ミリシーベルト)という被ばく限度が採用されています。放射線業務に従事する時は、その規定にしたがって、年間の被ばく量をそれ以下にするように厳密に管理されていますが、そのレベルの被ばくで明らかな健康への影響は認められていません。なお、これまでの様々な解析でも、年間10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)以下の被ばくでは健康影響の有無は明らかでないとされています。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月22日改訂、平成23年3月24日改訂、平成23年4月10日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q7 今後、東北・北関東地域の農産物や海産物を食べ続けて、健康への影響はありますか?
A:福島原発での事故が収束に向かう限り問題はありません。特に土壌の放射性セシウムは、粘土質に吸着されて植物に吸い上げられにくくなっているため、農畜産物が汚染されることはまれになってきています。ただし、野生のキノコは、チェルノブイリ事故の時も高いレベルの汚染が長期に亘り検出されましたので注意が必要です。魚介類についても、平成23年11月現在、水揚げ時のサンプル調査が続けられており、その結果で出荷の適否の判断が行われています。従って、市場に流通している農産物・海産物は暫定基準値以下のものです。(ですから、ご自身やご家族が食するかどうかは、そのような測定結果を見て判断するべきです。)なお、福島原発の排水口付近や沖合での海水ならびに海底土中の放射能濃度も定期的に発表されていますので、その推移も参考になります。チェルノブイリ事故のときの我が国の輸入制限は370ベクレル/Kg(放射能単位)でしたが、欧州ではこの10倍のレベルの食品も食されていましたが健康影響は出ませんでした。ただし、そのことが今の安全を保証するものではありません。放射線は、目に見えないものですが、放射線ほど少ない量を敏感に測定することができるものはないといえます。ですから、食品等に汚染の可能性が考えられるときは、その放射線量や放射能を測りさえすれば、人体に影響を与えるような汚染があるかどうかは容易に知ることができます。今後のきめ細かい測定に加えて、私たち自身がその数値を適切に判断できるようになることが大切です。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年12月28日改訂)
A:平成23年11月現在、警戒区域以外では、観測されている放射能汚染の状況では、通常の外出で放射性物質の衣服への付着や内部被ばくにほとんど注意する必要ありません。理由は、原発からの大量放出は4月以降起きていませんので、警戒区域より外では大気中に飛散する放射性物質はごくわずかとなっており、それらの吸入による内部被ばくはほとんどなく、皮膚に付着することもまずないからです。従って、夏以降、この質問にあるような考慮は基本的に不要となっていますから、帰宅時の手洗い・うがいを励行することで十分です。なお、3月に降下した放射性セシウムは、土壌の表面にある粘土質に吸着されていますので、どうしても気になる場合は、土埃が舞っているようなときに外出する際はマスクをするなどの対策をすれば良いでしょう。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月21日 改訂、平成23年12月28日改訂)
Q5 福島県いわき市の原発周辺では念のため安定ヨウ素剤が配布されたようですが、服用の必要性はありますか?
A:安定ヨウ素剤は甲状腺の被ばくを少なくするために用いられますが、かなり高い甲状腺被ばく(10万マイクロシーベルト以上)が見込まれない限り使用するべきではありません。安定ヨウ素剤には副作用があるため一般家庭には配布されませんでした。どのようなタイミングで安定ヨウ素剤を使用するかは、予測される線量に基づいて、専門家が判断することになっています。今回、安定ヨウ素剤が配られた地域においても服用の指示は出ませんでした。
ヨウ素は微量必須元素であり、甲状腺に集まり身体の成長、知能の発達に必要な甲状腺ホルモンの生成に必須です。従って、ヨウ素が欠乏すると甲状腺ホルモンが欠乏状態となります。
そのために子供や妊婦には成人よりも必要とされます。そこで、放射性ヨウ素が体内に入る可能性がある時に、予め安定ヨウ素剤を服用して、甲状腺を安定ヨウ素(放射線を出さないヨウ素)で満たしておけば、放射性ヨウ素が体内に入っても吸収されにくくなります。例えば、放射性ヨウ素による甲状腺の被ばく線量が10万マイクロシーベルトと予測される場合、放射性ヨウ素の体内摂取前又は直後に安定ヨウ素剤を服用すると、甲状腺への集積を90%以上抑制できるので、甲状腺の被ばく線量を1万マイクロシーベルト(=10ミリシーベルト)以下にすることができます。
甲状腺の放射線影響としては、甲状腺がんが問題になります。しかし、甲状腺がんの発生確率は被ばく時年齢で異なり、乳幼児の被ばくでは増加しますが、40歳以上では増加しません。そのため、安定ヨウ素剤の服用対象は原則40歳以下とされています。原子力安全委員会・原子力施設等防災専門部会は平成14年4月に「原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方について」を発表し、安定ヨウ素剤予防服用に当たっては、服用対象者を40歳未満とし、全ての対象者に対し、放射性ヨウ素による小児甲状腺等価線量の予測線量を10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)とするとしています。また、市販のうがい薬や消毒薬にヨウ素が含まれることから、これを飲むとよいという誤った情報が流布していましたが、決してそのようなことはしないでください。これらの薬剤に含まれるのはポビドンヨード(1-ビニル-2-ピロリドンの重合物(ポリビニルピロリドン)とヨウ素の複合体)と呼ばれるもので、安定ヨウ素剤として製剤されているヨウ化カリウムやヨウ素酸カリウムとは異なるものであり、効果を期待できないばかりか、そもそも経口薬でなく、外用消毒薬のため、飲み込むと消化管などに対して毒性を発揮する可能性があります。
原発事故が勃発してから8ヶ月を経過した平成23年11月現在では、大気中に放出されたヨウ素131の殆どがその半減期(約8日)により極めて微量となっているので、今後更なる重篤な事態が発生しない以上、安定ヨウ素剤の服用が必要となることはないと考えられます。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月19日改訂、平成23年3月22日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q4 ごく微量でも長期間体内に留まることが不安です。時間が経てば、放射性物質はすべて体外に排出されるのでしょうか?
A:今回のような原子力発電所事故の場合、ウラン235が核分裂して様々な元素に分解し、その中に放射性を示す物質が含まれます。多くの物質は、体内にとり込まれても、通常、体外へ排出されますが、なかには体の中の特定の臓器の成分に取り込まれて長期間生体内に残留する放射性物質もあります。そうした放射性物質の代表例に、甲状腺に集積する放射線ヨウ素131や筋肉に滞留するセシウム137、骨に集積するストロンチウム90などがあります。放射性物質は、崩壊して非放射性になっていきますが、最初の量の半分になる時間は、放射性ヨウ素131でおよそ約8日、セシウム137で約30年、ストロンチウム90で約29年です。しかも、こうした物質も糞尿などとして体内から排出されていきます。ヨウ素131の場合は約80日、セシウム137の場合はおよそ100-200日、ストロンチウム90の場合は数年から数十年です。ですから、もし放射性物質を体内に取り込んだ場合、次第になくなっていくものとそうでないものとがあります。今回の事故で報告された放射線量から予想される放射性物質の量は、平成23年3月22日時点においてでさえ少なかったので、平成23年11月現在に至っては残量放射性物質の影響を心配する段階ではありません。しかしながら福島県内では土壌に付着しているセシウム137による被ばくを出来る限り避ける様な配慮は必要です。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月19日改訂、平成23年3月22日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q3 体内に取り込まれた放射性物質によって人体に影響が出る線量はどのくらいですか?
A: 10万マイクロシーベルト(=100ミリシーベルト)程度以下の被ばくでは健康影響の有無は明らかでないとされています。放射性物質は、放射線を出しながら放射性のない物質に変わっていきます。そのときに発生する放射線が体に影響します。放射性物質には、あっという間に放射線を出さなくなる物質と長い間放射線を出し続ける物質があります。最初にあった放射性物質が半分になる時間を物理的半減期といって放射性物質の寿命を表していますが、実際には、体内に取り込まれた放射性物質は、体に備わっている排泄装置によって体外へ排出されます。従って、体内に取り込まれた放射性物質の人体影響の程度は、どれくらいの放射性物質が体内に残存するかで決まります。報道でヨウ素131やセシウム137が問題と説明される理由は、それらの物質が比較的体内に残りやすい性質を持っているからです(Q4の説明を参照下さい)。しかし、今回の事故で観察された放射線量から計算すると、たとえ放射性物質が体内に取り込まれたとしても僅かですから、被ばく量は少なく、重篤な健康被害が現れるレベルの汚染は起こりにくいと判断されます。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月19日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q2 今回の福島原発事故の影響で東京より西の地域で人体に影響が出るのでしょうか?
A:福島原発の事故に由来する放射線あるいは放射性物質によって、平成23年3月末時点では、東京より西の地域では全く健康影響は表れないと判断されました。東京都では、平成23年3月に観測された線量率が0.16マイクロシーベルト/時間程度でしたので1年間このレベルが続いても年間1,500マイクロシーベルト(=1.5ミリシーベルト)程度で日本各地の自然放射線量と同じ程度でした。大阪府では、さらに低い0.05マイクロシーベルト/時間程度で推移していました。自然放射線レベルは、地域によってかなり変動があり、概ね東日本より西日本の方が高くなっています。今回の原発事故により放出された放射性物質による空間線量の地域差も、現在では自然放射線レベルの変動の幅の中に入る程度で問題ありません。東京より以西が安全ということではなく、今回の原発事故に被災された福島県民の方々の不安に寄り添い、復興へ向けて日本国民全員で努力して、この事態を乗り切ろうではありませんか。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月22日改訂、平成23年12月28日改訂)
Q1各地の放射線量が文科省のホームページ(http://www.mext.go.jp/)で公表されていますがこれらは危険な値ではないでしょうか?
A:平成23年3月11日に地震を受けた福島原子力発電所は、核分裂反応を緊急に停止させ、原子炉を安定にするための冷却をおこなっていましたが、引き続く津波の影響で冷却装置が破壊されました。そのため、福島原子力発電所では、原子炉内の冷却が行えず、冷却水から燃料管が露出し高温になって一部が破損されました。その際、発生した水素が平成23年3月15日前後に爆発を起こしたことによって、燃料管内に閉じ込められていた核反応生成物(放射性物質)が大気中へ放出され各地に飛散しました。平成23年5月2日には福島原子力発電所の事故原子炉は、まだ完全に安定状態になったとはいえませんでしたが、観測値の推移から、放射性物質の放出は、原発周辺の限られた地域以外、少ない状態に保たれていました。原発事故後毎日全国各地の放射線量と放射性物質降下量は文部科学省のホームページ (http://www. mext.go.jp/)に公表されています。その結果によれば、平成23年4月以降、福島県以外に関東地区の都県で、時々、過去の平常値の変動範囲を僅かに上回る値が観測されたものの、現在では過去の平常値範囲を顕著に上回っているのは福島県のみで、宮城県および茨城県で過去の平常値範囲を僅かに上回っている状況です。福島県福島市では、平成23年3月16日が18マイクロシーベルト毎時、平成23年6月16日が1.1マイクロシーベルト毎時、平成23年9月16日が0.6マイクロシーベルト毎時、そして平成23年11月現在は0.5〜0.6マイクロシーベルト毎時で推移しています。この放射線量を1年間被ばくしても総線量は、およそ5ミリシーベルトで、国が緊急時に一般人に適用すると定めた年間20ミリシーベルト以下であり、重篤な健康影響が現れる線量ではありません。
今回の原発事故発生当時には、国(政府)は国民の健康を守るために一刻も早く事故を収束させ、国民の被ばくをできる限り少なくするための防護策をまとめ実施する必要がありました。そのために汚染状況のきめ細かい測定をおこない、現在に至っています。事故を起こした4基の原子炉が100℃以下に冷却され、ほぼ安定な状態が保たれている現状において、速やかに土壌の入れ替え等の除染処理を施し、できる限り元の状態に戻すことが重要です。
(掲載日:平成23年3月15日、平成23年3月22日改訂、平成23年5月12日改訂、平成23年12月28日改訂)
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